黒川温泉の再生


この前テレビで九州の黒川温泉が廃墟寸前から日本の有名温泉地の指折りに入るまでに飛躍した経緯を紹介する番組が。僕も7年ぐらい前に母親と団体旅行に参加して黒川温泉で1泊したのですが、旅館の建物は現役とは思えない程ひなびているのに、団体旅行が沢山来ていて温泉地が賑わっているのに驚いたこともあったけど。まぁ、賑わいがあるからいいものの、山に囲まれてるし見た目はひなびてるからガラガラだったら一人で泊まるのは嫌ってくらいに鬱蒼としたところだったし。


ここの名物は入浴手形。僕が行った時にも買ったけど、1200円で24軒中3軒の旅館の温泉を選んで入浴できる温泉街全体の通用券。今ではごく当たり前のようなシステムだけど、導入されたのは20年以上前で、このような方法で成功したのはここだけだとか。
その手形自体も最初から始まったものではなく、1人の経営者が奇抜な発想で洞窟風呂や露天風呂を造ったところから始まったようで。手形一つで救われたのかと思ったけど、その人がいなければ変わらなかったんだろうし。科学者とかでもそうだけど、天才って普段はおかしな行動ばかりするけど、いざとなると普通では考えないことを思いつくから凄い。それは天賦の才にほかないな。


でも、黒川温泉の名を知らしめたのは奇抜な発想をする人がいたことと、全員の協力があってのものだろうけど、人気が飛躍的に上がったのはかえって地味さに拘ったからなのかも。日本人は派手なのが好きだから、人気が出た温泉地は新しく綺麗にしたり、利便性をよくしたり観光客に合わせて街の雰囲気を変えてしまっているけど、ここは観光客が増えても昔ながらのままを貫いているから本当の心を落ち着かせられる場所になっているからなんだろうな。


経営で生き抜いていくのは並大抵のことではなくて、客のニーズを常に掴んだり、時には個性が必要なのは大変だけど、ほんの一握りでも存在する感謝してくれる客のために真心を込めてそれに応えられるものを作ろうとすることが今の時代には特に必要なんだろうな。