本から学ぶ


今はまだ新しい仕事は週1回ペースの出勤のため会社が推奨している読書として社長お薦めの本を借りての読書。本を読むのとか一趣味の西村京太郎サスペンスのトラベルミステリーを除くと小学校の読書感想文頃以来かも^^;。活字は得意な方だし、新聞は長時間読んでると目がちかちかするけど、本は好きな方ながらなかなか手を付けることはしなかった。まぁ、ためになるとよく薦められるものの。
借りているのは現在2冊で同じ喜多川泰さんと言う方著作の「賢者の書」と「君と会えたから...」という本。会社推奨の本なだけにテーマは自己啓発書なのだが、思ってなかったところで新たな発見があったりして改めて読書の必要性を再認識できた。


1冊目の「賢者の書」はストーリー展開は現実的ではないのだが、人生を実り多いものにするのに不可欠な考え方をピンポイントで押さえてくれているのが分かりやすい。ある国で圧力社会に疲れ切ったアレックスと言う会社員が賢者を目指して旅を続けるサイードと言う少年と出会うストーリーで、人生に必要な局面を9人の賢者の教えとして行動・可能性・自尊心と他尊心・目標・今・投資・幸福・言葉、そして感謝・受容・誕生の単語に要約。
2冊目の「君と会えたから...」は恋愛小説はしょーもねぇなぁって感じで、実はその出会いには哀しい結末が待ち受けていたってのも在り来たりなストーリーだが、硬い自己啓発の理論を小説の中に織り込むことによってよりスムーズに理解することができたと思う。


「賢者の書」からは日頃頭の中では分かっていながら勘違いしがちな考え方を学ぶことができた。
成功を手に入れる賢者になるためには失敗を恐れずに何度でも「行動」を続けなければならず、その時には欲しくないものを得てもそれが後では必要になるパズルのピースを手に入れることになる。そして、宇宙を創った大いなる力は人間にだけ同等の能力を与え、それゆえに自然にあるもの以外は人間が創りだしたものであり、その一人である自分にもどんなものでも生み出せる「可能性」がある。そのためには自分は他に替えられないかけがえない存在だと信じる「自尊心」と、成功は他人の手助けがなければ手に入れられなかったことを素直に認める「他尊心」が必要で、将来の夢は何になりたいかではなくどういう人間になりたいかを「目標」とすることでぶれることがなく、過ぎてしまった過去に悔いたり、まだ来てもいない未来に不安になることに貴重な今日一日を使うのは日々を無駄にしているだけで、今日一日できることに精一杯励む「今」を大切にする精神が必要。


そして、ギャンブルとしてのお金ではなく誰にでも平等に与えられている時間を自分を高めるために「投資」し、自分だけを幸福にする東のオアシスの考え方は自分を楽しませてくれるのは自分だけだが、他人だけを幸福にする西のオアシスは自分を楽しませてくれるのは自分以外の全員で結局は他人を幸せにすることを考える方が自分も幸せになれると言う「幸福」の精神、自分を勇気づけるのも失望させるのも「言葉」であり、優秀な医者に症状が酷いと言われただけで病が悪化するほど言葉の力は大きく、自分が最も多く聞くのは自身の心の言葉なんだから自分はできる人間だと心に言い続けることが大事であると。
で、最後の賢者は人生から失望したアレックス自身で、自分にとって辛い経験も成功に不可欠なピースを手に入れるためだったことに「感謝」し、今までの自分の人生から逃げることなく「受容」し、新しい自分に生まれ変わる「誕生」を繰り返すことによって成功の多い実り多き人生になるというもの。
ストーリーは冒険ものではあるが具体的な考え方が書かれていて分かりやすい。特に4番目の「目標」では昔の日本の武家社会をモチーフに武士になる宿命の時代と、今の何にでもなれる職業自由の時代を対比させ、今は何でもできるがゆえに何になりたいかばかりで、自分がどうなりたいかの根幹を考えなくなっていると書かれていてなるほどなと思ったり。


一方の「君と会えたから...」は何処にでもありそうな甘酸っぱい青春が舞台のストーリーだが、無意味に平凡な日々を過ごしがちな自分にとって一日一日の大きさを再確認できた本で、見出しには<もし、明日が無限にあるわけではないとしても今と同じような今日を生きますか?>と書かれている。あとがきを読むとこの本は著者の周りの人がくも膜下出血と脳腫瘍で亡くなった実体験を元に書かれたらしく、娘が小さい時に病で亡くなった父親が我が子の人生を豊かなものにするために書いて遺した手記を、自身も病にむしばまれていることを知って初恋の人にその手記から学んだ教えを授けて、自分や父親の分まで人生を豊かにすることを託すと言うもの。
教えは、まず自分の本当に欲しいものを知ると題して自分が欲しいものや、行きたい場所など欲するものを出来る出来ないに関わらず思いつくもの片っ端から書いてリストを作り、夢を実現させる方法を知ると題して先程の欲しいものを手に入れることで他人にしてあげられることを書いてリストを作ると言うもの。例えば英語を上手になりたい→通訳をしてあげられるなど。


それから、経済的な成功の真実を知ると題してお金を払うことは感謝を届ける意味があり、お金を得ることは感謝を集めると言うもの。それによっていくら稼ぐために後どれだけ働くかではなく、働く質を変えようと考えるようになるとのこと。そして、魅力溢れる人になると題してコンプレックスや欠点であっても自分だけの個性として魅力の光に変えること、手段を目的にしないと題してなりたい自分になるのはどの職業に就くかは重要ではないことを、旅行に行く時飛行機がダメでも電車やバス・車・船・自転車・徒歩など時間はかかっても行きたい気持ちさえあれば行けることをたとえにし、できないという先入観を捨てると題して初めから自分はできないと思い込む先入観が可能を不可能にすること、人生の中で決められていることはあの世にいくことだけだから絶対にできないことはないことの7つの教えを授けるもの。


この本で自分にとって印象的だった一節は「人間は未来のことを考える時に、上手くいったらこうなるということ以外に、上手くいかなかったらどうしよう、それどころか、どうせ上手くいくはずないといったことも一緒に考えてから自分のやるべきことを決めてしまう。そうして上手くいく確率の方が低いと決めつけ、夢に向けて行動を続けることを宝くじ同等の確率の低いものに投資する行為と見なしてしまう。そして結局、夢へ向けての行動を取ろうとしない。 <中略> 私たちの未来の夢は、絶対に手に入ると狂おしいほどに信じてそれに向けて情熱を絶やさず行動を繰り返す限り、必ず達成されることが約束されている地であり、それを確率の低いものに変えてしまっているのは、冷静な分析と称して行動することもなく、頭の中で繰り返される消極的な発想に他ならない。」の箇所。
まぁ、僕の場合は夢というものはないが、それを目標や達成したいことに置き換えると思い当たる節も色々と出てくる。


この本を読んだ感想で自分だったら相手の成功のためにこんなことをしてあげられるだろうか、逆に成功を託されたとしたら重圧ではなく力添えとしてその期待に応えられるだろうかと考えたりもするのだが、この本によって別のことにも新たな視点で物事を捉えるきっかけになったのは大きい。
これらの本を読んで、自分の場合、唐突にしか考えられなかったことを、"自分にとって最も幸せを手に入れて欲しいと思う人が、もし最も実現したいと考える目標を達成する手助けをすることが自分にできるのだとするならば、その人に目標を達成してもらうことを自分の達成したいことにしてみるのはどうか"という風に捉えてみると今までは消極的だったことも積極的にチャレンジしてみようかと思えるように^^。そう捉えると今まで自分が失敗だったと思っている選択も、後で役割を果たすピースを手に入れるためだったのかもしれないと考えることができるようになった。


考えてもみると高校の選択に成功して偏差値相応の公立や緩い私立に通っていたとしても、そこでの勉強では大学には行けなかったか金さえあれば合格できるようなどうしようもない学校しか受からなかっただろうなぁと思う。それに、何とかマスの日が嫌いになった出来事もその別れがあったために言いたいことや伝えたい気持ちは伝えようと思えるようになったのだし。その時は失敗だったと思うような人生の選択でも視点を変えてみるとあの選択がなければこうはならなかっただろうなと考えられるもんなのか。そう考えられれば自然とポジティブ思考にもなれるし。僕は別に生まれて良かったとか、長生きしたいとはこれっぽっちも思わんけど、どうせ同じように生きていかなければならんのであれば、今を良き思い出に浸って後悔にばかり使うよりもなるべく楽しく過ごしたいしな。
3連休でアルバイトも終わって半分夜更かし気味にまで熱中して読んだ久々の読書だが、やっぱ本って良いもんだなぁ。まさか硬いイメージの自己啓発書からこんな形のアイデアを得られるとは思わんかったし。時間がある時は図書館や本屋に寄って本を手に取ってみるようにしよ。