紀勢本線殺人事件


先月で仕事が終わって今後に向けて気分をリセットしたいこともあって久々に京やんの十津川警部シリーズのトラベルミステリーを読んでみようと。ジュンク堂書店は大きいから一日中居座ってても目立たなさそうだからいいわ。(ぁ)小説、とりわけ推理小説は気分は重たくなるが、その世界観にどっぷり浸れるため憂鬱な時に気分を変えたい時なんかには丁度いい。望むなら実際に旅に行けるのが一番だが、むしろ仕事がなかったらそんな余裕もないしと。一応は十津川警部シリーズのトラベルミステリーなら鉄道旅行してる雰囲気にもなれるし。
で、今回読んだのは文春文庫出版の紀勢本線殺人事件。ざっと見た中で一番面白そうだったため。やっぱりローカル線ってのと身近な線ってとこで。


ストーリーは、新宮にある廃止になったケーブルカーの中で若い女性が殺害されていたところから始まる。その一週間前に東京で同じく若い女性が殺害されていて、同じように額に×印の傷跡が刻み込まれていたことから同一犯行の線が強いと言うことで十津川警部和歌山県警の合同捜査が行われることに。更にはこの二つの事件の共通点には被害者のイニシャルがY.Hで、21歳のOL、右目尻の下にほくろがあるというのがあった。
後に串本で同じ共通点の事件が起こった。十津川は何故東京から南紀に飛んだのかを疑問して捜査を開始する。和歌山県警の中村警部は若さで息巻いていて警視庁の十津川を目の敵にし、独自に容疑者を絞り込んで自分達で勝手に捜査すると主張する。そして、白浜で容疑者の一人が殺害された。


そんな中、犯人から第四の事件が紀勢本線のKで起こると予告状が入る。紀勢本線には紀伊が付く駅が数多くあるため特定はできなかったが、息まいている中村警部はそれを紀伊田辺だと踏み張り込む。そして紀伊田辺で事件が起きた。同じように額に×印があったが、イニシャルなど共通点は今までと違っていた。更にはこの事件を起こしたもう一人の容疑者が殺害された。この事件を起こしたのは東京で殺害された被害者の知人で、復讐として犯人を探していたようである。そして容疑者である二人を殺害した。
しかし、これは本筋の事件とは関係のない出来事だった。容疑者の一人は模倣犯として全く関係のない女性を手にかけていたのだ。


そして、まだ第四の事件は生きていると再度予告状が届いた。捜査は振り出しに戻った。十津川警部は改めて現地に向かい、犯人はホモではないかと奇想天外な発想をする。そして、ホモの相手を自殺に追い込んだ女性の手掛かりがイニシャルがY.Hで、21歳のOL、右目尻の下にほくろで、東京の事件の後南紀にいることが分かったのだろうと推理する。
更に、紀勢本線のKについてもKの地名だと思われていたが、そのホモの相手が白浜に支店がある紀南信用金庫に勤めていたため一般的な南紀白浜のことではなく紀南と呼ぶと思いKだと思い込んでいると判断し、次に狙われる3人の中から本来のKではない白浜にいる1人に絞り込んだ。


十津川は狙われている女性の親戚が経営しているホテルを訪れ護衛につくことにした。犯人はボランティアグループのメンバーに変装し催涙スプレーをまき散らし狙っている人物を捕えるが十津川はふらつく足元の中犯人を撃ち抜き事件は解決。最後に犯人の犯行のいきさつが書かれた手紙が見つかり事件は幕を閉じた。
と言うことで、この編では珍しく十津川が犯人を撃つ結末となる作品である。京やんの十津川警部シリーズでは証拠を元に犯人を追い詰める形式ではなく、当初容疑をかけられていた人物や犯人の近親者の協力を得て罠にかけるパターンが多いのだがこれは比較的レアな結末のパターンのように思う。
しかし、やっぱ十津川警部シリーズはストーリーが過激だわw。にしてもやっぱ僕は列車トリックがいいよなぁ。